2015年1月23日金曜日

知性の無いユーモア

自分の完全な請売りの先入観なのだが、フランス人は『フランス人』というだけでほぼ全員、知的に見える。

リカちゃんのパパ(ピエール)は、パイロット(=設定)だ。

先日の事件は、その先入観が変わる出来事となった・・・

パリの新聞社への銃撃事件に端を発したテロリズムではあるが、事件が収束した現在でもスッキリしないのは、ワリと理由がハッキリしている。

凶弾に倒れた方々や、巻き添えとなった犠牲者には、同情する・・・

カネさえ出せば、自動小銃が誰にでも買える事にも、驚いた・・・

・・・が、銃撃を受けた新聞社(仏:Charlie Hebdo シャルリー・エブド誌)が事件直後に発行した紙面に、その理由は在る。

発行人が“ユーモア”と称する『風刺画』がある・・・

・・・イスラム教の預言者である『ムハンマド』の姿を描いている。

イスラム教は“偶像崇拝を禁止”しているので、当然、其の姿は想像で描いているのだろうが、風刺の対象を何故イスラム教にしているのか、理解できない。

理由はいろいろあるのだろうが、『ムスリム(=イスラム教徒)』と云う少数派を対象にする必然性は無いだろう・・・『自由・博愛・平等』を標榜する国に於いても、移民排斥主義が横行している表れなのだろう。

・・・既にヨーロッパでは、常態化している。

元々は、自国の好況時の労働者不足を補うために、旧植民地からの移民を受け入れた経緯がある・・・植民地の独立により体制が変化し、自国に近い思想を持った移民も同様・・・先進国の人口は総じて横ばいか減少傾向なので、双方にとって“渡りに船”だった。

其の移民を毛嫌いし、排斥するまでに至った『自由の国』の心境の変化は、私には想像がつかない・・・

隣に外国人は居ない・・・解かるはずもナイ。

在日朝鮮人に脅かされるコトは、ほぼ無い・・・自分はそう感じるのだが、たぶん、在日の方々は相当に肩身の狭い想いをなさっているのだろう。

自分が意識出来ていないだけだな・・・

・・・てコトは、同じか?!

他人の我慢は、見え難い・・・日本で同じ事が起らない事を願う。

だいぶ話しが逸れた・・・

景気が良ければ、ボロが隠れる・・・今は、逆だ・・・フランスの国情は理解できなくもナイが、ムスリムだけでなく、今でもユダヤ教徒への嫌がらせや迫害まで発生する此の国の実情には、暗い未来が待っている。

フランス国内に住むユダヤ教徒が、毎年何千人もイスラエルへの移住を決断している・・・要は「恐怖の中では、住み難い」というコトだ。

表面的には『自由で素晴らしい国』に見えても、実は『疑心暗鬼』なのだ。

勿論、『テロリズム』には反対だ・・・『表現の自由』も保障されて当然だ。

・・・が、人が信じる物や宗教を揶揄したり、愚弄する事に『表現の自由』を与える、若しくは保障する必要が在るとは思わない。

世の中の対立軸を数えれば切りが無いが、ワザワザ対立を煽る事の無意味さには、考えが及ばないのだろうか?

・・・想い至れば、同じ事(風刺画の掲載)は繰返さなかっただろう。

其処に想い至れないほど、世に鬱積した空気が蔓延しているのかも知れない。

事件後、シャルリー・エブド誌の風刺画家が「犯人は、ユーモアが解からない」と言ったそうだが、私も解からない方に属する。

其の裏に見え隠れする『知性』を感じ取れてこその『ユーモア』なのである。

ユーモアを弱者に向けるのは、弱者に銃口を向けるに等しい。

他を想い遣る事の出来ない者に、聴衆に対するウケ狙いのユーモアを語る資格は無い。

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